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【コラム第34号】「一般化」が親子関係を悪化させている


 

「わかるう~」とか「いっしょだ」の言葉は、よく使われています。

 

日常会話というか、世間話の中ならば仕方がないかも知れません。

 

しかし、こちらが真面目な話をしている時に、「わかるう~」とか、「わたしといっしょだ」等と言われると、かなり不快になります。

 

私のことを「そんなに簡単に分かるはずがない」からです。

 

また、私とあなたが「一緒のはずがない」からです。

 

このような個人の話を、誰にでもあるような出来事にすることを「一般化」と言います。

 

「一般化」することで起きる問題は、「みんなが悩んでいるのに、あなたには我慢ができないのか」という話になっていくところです。

 

要するに、個人の話を全く理解していないことになります。

 

つまり、かなり失礼な言葉になるのです。

 

 

個人の悩みや苦しみは、その人の固有の問題であり、決して一般化などできないものです。

 

生まれも育ちも違う人間同士で、問題を理解することは難しいのです。

 

ですから、「自分には分からない」と応えた方が誠実なのかも知れません。

 

 

そうであれば、どのようにすればよいのでしょう。

 

やはり、一般化をしないことが大事になりますが、心構えが大事になります。

 

その話し手から、人生を学ぶような姿勢や心構えが大事になります。

 

自分が直接に経験していない事を、真剣に教えてくれている人と考えた方がよいでしょうね。

 

 

 

さて、このようなことは、「引きこもり」当事者の居る家庭の親子関係でも起こります。

 

当事者が大真面目に話をしているのに、親は「そんなのは当たり前の話だ」と、「一般化」して話を受け止めるのです。

 

多くの「引きこもり」当事者が、「親は何も理解していない」と感じています。

 

その原因の一つは、親の「一般化」する話の聞き方にあると考えられます。

 

親が真面目に話を聞いてくれないので、当事者が激怒するわけです。

 

そして、親子断絶となっていくのです。

 

多くの親は「当事者の考えていることが全然分からない」と言われますが、実際のところで親が当事者の話を聞いていないかも知れません。

 

そのポイントが、「一般化」の問題であると考えます。

 

親が少し話の聞き方を変えると、当事者とコミュニケーションがとれるようになるかも知れません。