発達障害や精神障害の当事者がいる家庭のお母さんは、怖い顔をしていることがあります。
「どうして自分は、こんな不幸な目に遭わなければならないのか」と、怒りの表情が見えます。
母親は、「自分はできる限りの努力をしているし、病院で治療を受けて薬も飲ませているのに、どうしてよくならないのだろうか」と言われます。
どうも納得ができない様子です。
こちらが何を言っても、伝わらないような感じです。
それならば、家に帰って当事者との関係は、どうなっているのかと心配になってきます。
お母さんが一生懸命になっておられるのは、十分に理解できるのです。
しかし、当事者にすれば嫌な感じの状態だと想像します。
このような状態を「オキシトシン不足」と考えます。
このオキシトシンとは、幸せホルモンとか愛情ホルモンとか言われ、女性ホルモンの一種です。
出産時や授乳の時に、母親の脳でオキシトシンが出て、幸せを感じるようになっているようです。
母親にオキシトシンが出ると笑顔になりますので、その笑顔を見た子どもにオキシトシンが出て幸せを感じるのです。
そのように、他者と優しく関わる時にもオキシトシンが出ています。
有能なカウンセラーに話を聞いてもらうと、幸せな気持ちになるのは、オキシトシンが出ているからです。
おそらく、カウンセラーの笑顔によって、オキシトシンが出ていると考えられます。
オキシトシンは女性だけでなく、男性でも幸せを感じている時に出ています。
例えば、恋人同士が愛を語り合っている時には、二人ともに脳内にオキシトシンが出ているのです。
また、子どもがケガをした時に、患部を擦って「痛いの痛いの飛んでけー」と言ったりしますが、これによってオキシトシンが出て、本当に痛みが緩和する効果があるのです。
さて、先程のお母さんの話に戻ります。
この問題は、オキシトシンが出るような生活をしていないところにあります。
たぶん、子どもの方も、同じようにオキシトシンが出ていない状態でしょう。
大事なのは、笑顔で生活することです。
笑顔になることでオキシトシンが出ます。
そのお母さんの笑顔を見た子どもにも、同じようにオキシトシンが出るようになります。
お母さんが、そのように心がけるようになると、親子関係が変わって子どもの成長を喜べるようになる可能性が出てきます。
人間の問題のさまざまなことは、オキシトシンなどの脳内物質の影響で起きています。
ですから、親子の問題は理屈で考えるよりも、愛情から捉えていく方が大事かもしれません。
オキシトシンがたくさん出ているお母さんになって欲しいと、そう願っています。