· 

【コラム第29号】物事は「進んだり戻ったり」


発達障害や精神障害の健康回復への道のりは、「進んだり戻ったり」になります。

 

エスカレーターのように直線的な回復はなかなかできません。

 

そんなうまくいかない状態に、家族や当事者は不安を感じます。

 

しかし、そのような状態が案外よいのだと考えています。

 

もし、何事もなく直線的に回復すると、次に困難があった時の落ち込みは、激しいものになります。

 

でも、適当な低迷状態があると、過度の期待や緊張も減って、困難の時に対処できる状態になるわけです。

 

ですから、「進んだり戻ったり」の状態の方が、確実な健康回復への進み方だと思います。

 

 

「這えば立て、立てば歩めの親心」のところで、親は一進一退の状態に悲観する人が多いです。

 

「以前にできていたことが、最近はできなくなっている」と言うのです。

 

当事者の後戻りの状態を嘆くわけです。

 

そして、「やはりだめか」と悲観的な思考状態に入ります。

 

このようなマイナスの思考ループは、当事者にとって悪い影響が起きてきます。

 

当事者が現実に努力しているのに、結果が悪いと受け取られると、もう努力する気が失せてしまうからです。

 

やはり結果がどうあれ、努力したことについては、「よくやった。次もがんばってね。」と前向きな姿勢の方を高く評価することが大事です。

 

 

大事なのは「できなかったこと」よりも「できたこと」にあります。

 

焦点をプラスの方に当てる考え方が、支援の難しい精神障害の健康回復に役立つと考えます。

 

「進んだり戻ったり」の考え方を大切にしてくださいね。