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【コラム第26号】家族と当事者の「悩みの違い」


「不登校問題」にしても「引きこもり問題」にしても、家族と当事者の悩みを一括りにして語られることが多いです。

 

何が問題なのか、よく分からないような状態になっているようです。

 

そこで、少し、整理が必要だろうと考えます。 

 

 

 

私は家族会へ行くことが多いので、いつも聞くのは「親の側からの悩み」になります。

 

「いつになったら学校へ行くのだろうか」

 

「いつになったら、働きに行くのだろうか」

 

「いつにになったら、引きこもり状態から抜け出るのだろうか」等などです。

 

 

親は、状態を「心の持ち方の問題」と捉えていることが多いように感じます。

 

また、私は当事者への直接の支援もやっています。

 

 

当事者の悩みは、親とちょっと違います。

 

「どうして親は、自分のことを分かってくれないのだろう」

 

「親が自分をこのような状態にした」

 

「働きに行きたいと思っているが、心身の状態が悪くて働く自信が無い」

 

「他者と話をするのが怖くて、外へ出られない」等などです。

 

 

当事者は、「親との関係」や「自分の心身の健康状態」で悩んでいることが多いようです。

 

さて、親と当事者とでは、問題の捉え方に乖離があるのです。

 

双方が、自分の立場だけで考えていると、このような意識の開きが起きてきます。

 

そして、家の中では対立が起こり、ここで争いになっているのが現実でしょう。

 

大事なのは、相手の立場になって考えていくことですね。

 

 

 

さて、どうして「不登校」や「引きこもり」になっているのかというと、学校や社会にいると自殺まで考えなえればならない状況にあるわけです。

 

それで、自分を守るために不登校や引きこもりをやっているのです。

 

家は、彼らの最後の砦なのです。

 

しかし、その最後の砦である家で、親から口うるさく攻撃されると、居場所がなくなってしまいます。

 

それで彼らは、暴言暴力で親と戦うわけです。

 

この問題の本質的なところから考えると、先ず当事者の悩みの解決や解消が必要だと思っています。

 

これは簡単にはいかないのですが、やはり、親が当事者を助けていく方向に行かなければ、前へ進まないように思います。

 

 

つまり、親の役割は、まず当事者と会話ができる状態にすることが大事になるでしょう。

 

親がいつもお説教みたいなことをやっていると、当事者は何も話してくれません。

 

そんなことは避けて、日常会話ができる関係を取り戻してください。

 

このことが、双方の悩みの解決への第一歩となってきます。

 

わだかまりを捨てて、仲がよかった頃のように笑顔で会話する関係にしてくださいね。

 

会話が成立するようになれば、そのことで当事者の悩みの多くが消えていき、心身の健康も回復していくと思われます。

 

 

親が本当に願っているのは、当事者の心身の健康や社会自立でしょう。

 

当事者がそこへ向かっていけるように、温かい心で接してくださいね。