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【コラム第14号】パニック障害との付き合い方~「自分と闘う」のをやめる


引きこもりになっている原因に、パニック障害を起こすのが怖い人が居ます。

 

パニック障害は、広場恐怖症と言われるものです。

 

「広場」という言葉が尽きますが、広いところが怖いのではありません。

 

むしろ、狭いところが怖いのです。

 

 

 

電車やバス、飛行機などの乗り物に乗った時に起きます。

 

狭い空間のエレベーターなどでも起きます。

 

 

 

発作が怖くて、乗り物で旅行などへ行くのが憂鬱です。

 

電車では、直ぐに降りられるように各駅停車でなければ乗れません。

 

 

 

また、乗り物に乗っている最中は、必死で発作と闘っているので、クタクタに疲れるのです。

 

 

 

こんな状態は、パニック障害の当事者でなければ理解が難しいでしょう。

 

 

 

実際、心臓が止まりそうに感じたり、急に意識が薄れていったりして、このまま死んでしまうのではないかと急激な不安になるのです。

 

 

 

顔面が蒼白になり、脂汗が出て、体が固まり、ほとんど動けなくなってしまうこともあります。

 

そんな理由で、引きこもりになる原因に、パニック障害で外出できないこともあると考えられます。

 

つまり、外出をしたくないのと違って、外出したいのだけれどパニック障害の発作が怖くて、出かけられないのです。

 

 

 

そんな当事者に私が、「家で何をしているの?」と尋ねると、「家で自分と闘っている」と答えます。

 

 

 

家で発作を起こさないように、必死で自分と闘っているのでしょう。

 

 

 

さて、パニック障害の原因は、「自分の身体状態の観察をやり過ぎ」であると、私は考えています。

 

人間の意識というのは、外的世界(自分以外)へ向かうか、内的世界(自分の世界)へ向かうか、片方しかできません。

 

注意を同時に2つ向けることはできないのです。

 

ですから、健康的な人間は、意識を外界へ向けたり内界へ向けたり、交互に繰り返しているのです。

 

 

 

ですが、発達障害のような状態の方は、「こだわり」(注意の切り替えが苦手)もあって、内界の方へばかり意識が向かってしまう傾向があります。

 

 

 

みなさんも、自分の身体の健康状態ばかりに注意を向けると、肩が凝ったとか、お腹が空いたとか、足が痛いとか、目がかゆいとか、喉が詰まるとか、様々な異常を感じることでしょう。

 

 

パニック障害というのは、そんな心配性の状態で、自分の身体の観察ばかりを続けているわけです。

 

 

 

では、「どうすればよいのか」ということです。

 

 

 

簡単に言うと、注意を切り替えることです。

 

私は、実存分析の逆説療法を勧めます。

 

 

 

パニック障害が起きた時に、自分と闘わずに、自分に起きている状態を観察するのです。

 

自分を観察することによって、注意が自分から少し離れるからです。

 

 

 

観察するということは、自分を客観的に観る作業をしますので、注意が自分から少し離れるのです。

 

この方法は『認知行動療法で、暴露法』と言われていますが、ほとんど同じようなものだと思います。

 

ポイントは、注意が自分から離れるところにあります。

 

長年、パニック障害で苦しんでおられる方は、ぜひ試してください。

 

また、日常生活の中でも、「こだわり」を少しずつ減らしていくことを、お勧めします。

 

これは、意図的に自分で「注意の切り替え」をするトレーニングとなるからです。

 

パニック障害は治りますので、焦らずに取り組んでいってくださいね。