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【コラム第6号】学習性無力症


不登校や引きこもりに関わる話です。

 

 

困難な状態に出くわした時に、それが解決できない状態の経験ばかりをすると、もう解決への努力をしなくなるのが学習性無力症です。

 

 

 

無理難題を吹っ掛けられたり、理不尽ないじめにあったりすると、問題解決不能と感じて、もう何も努力をしたくなくなってしまうのです。

 

このような状態を強烈に経験したり、また継続的に経験するような目にあうと、この無気力の状態が脳に強く記憶されて、固定化していくことになります。

 

 

 

おそらく、嫌な経験が脳の海馬での記憶と結びついていて、いわゆるPTSDと同じような症状になっていると考えます。

 

 

 

 

嫌なことは忘れた方がよいと分かっています。

 

しかし、無意識のところで、どうしても忘れることができない記憶となって、人格に浸み込んでいるのだと思います。

 

ですから、もはや心の問題ではないのです。

 

 

 

 

この状態から抜け出す方法は、成功体験を重ねていくことです。

 

困難の経験を上回る質と量の問題解決体験が必要です。

 

 

 

 

不登校や引きこもりの原因を、その人の心の問題だと捉えるのが一般的です。

 

そこで、励ましたり、脅したりして、何とか気持ちを切り替えさせようとするわけです。

 

だけど、本当の原因は周りの人間による攻撃や理不尽な行動で、学習性無力感のような脳機能状態になっていたりするのです。

 

 

 

 

これは、問題を抱えやすい発達症の人に多いと考えますが、状況によっては、どの人にも起こりうる出来事なのです。

 

 

 

 

困難に出くわした時に、必死に努力して問題を解決する考え方をするだけでは、当事者の問題は解決しません。

 

 

 

 

本当の解決への道は、身近な日常生活の中で、小さな成功体験を重ねていくことによる自己肯定感が大事なのです。

 

当事者に対しては批判的な視線よりも、温かい肯定的な目が大切だと考えます。