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【コラム第4号】トラブルは心の問題でなくて脳機能不全が原因


不登校や引きこもりの当事者や家族の方に接していると、その多くの方は感情的になって問題をこじらせているようです。

 

人間の口から出る言葉や行動ですから、お互いに原因は相手の心にあると感じてしまうのです。 

 

当事者は、自分の気持ちをどうして親は理解してくれないのかと感じています。

 

反対に、家族は当事者の心がけが悪くて甘えているのだ、と受け取っていることが多いようです。

 

このようなところで、すれ違いが起きているわけです。 

 

発達症が精神疾患に近い状態であると、当事者の脳は機能不全になっています。

 

そこで、当事者は苦しさのあまり、家族に対して暴言を吐くことになってしまうわけです。

 

暴言を受けた家族も、心を傷つけられたところで感情的になり、当事者に暴言でやり返すみたいな状態になってしまいます。 

 

親子でなく、夫婦間の問題では、『カサンドラ症候群』というようなことが起きます。

 

これは、片方が異常な状態であると、知らず知らずのうちに、もう片方も精神状態が悪くなり、双方ともに精神疾患になっていくことです。 

 

おそらく、親子関係においても、このような双方が異常が常態化して、家族崩壊に近い苦しみを感じておられるのだと思います。 

 

ここで伝えたいのは、当事者の言葉や行動を心の問題としてとらえないで、脳機能が一時的に不全状態になっていると受け取ることが大事だということです。

 

この状態の解決は、医師の処方による向精神薬も一時的に有効ですが、何よりも家族が感情的にならずに冷静に対応することが大事です。

 

暴言などでの感情に、巻き込まれないということが何よりも大事です。 

 

当事者の精神安定のためにも、家族の心労の予防のためにも、当事者と少し距離をとって、温かく見ていくようにしてください。

 

そのような状態を続けていくと、少しずつ当事者の精神状態も安定してきますので、互いに笑顔が見られる関係へと移っていく可能性があります。

 

あまり、深刻になり過ぎないところが大事なのかも知れません。