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幼さを責めてはいけない~精神面の成長には20年が必要な理由

 

発達障害当事者の幼さを嘆く親が多いです。

 

世間常識的なことが、どうして分からないのだろうと悩んでいる親が多いです。

 

そのような当事者の状態を、甘えていると解釈する方もいますし、本当は分かっているのに知らないふりをしていると解釈する方もいます。

 

後者の解釈は、学校の教師の方が多いでしょう。

 

相手をしていたら、腹が立ってくるのですね。

 

どうしても、教師の方が馬鹿にされているように感じてしまうわけです。

 

その結果、不登校となっている当事者も多いと推測します。

 

世間的常識は、善悪や倫理観など社会的適応に関わる脳の部位に関係があります。

 

ですから、その脳の部位の成長発達が遅れているわけです。

 

その部位とは、みなさんもご存知の前頭葉(でこ)の部位です。

 

定型発達でも、この前頭葉の成長発達には、20年かかると言われています。

 

それならば、発達症の当事者にはもっと時間が必要になります。

 

 

 

どうしてなのかの説明をします。

 

 

 

脳は、後ろの部分から前の部分へ向けて順に成長発達していくのです。

 

はじめは後頭部ですから、視覚が発達するのです。

 

その次に聴覚となり、だんだん前に発達が進んでいきます。

 

それで、後頭葉は一番最後の部位になるのです。

 

それが終わるまでに20年間かかってしまうわけです。

 

ですから、前頭葉の発達がまだである子どもに、大人のように常識的な判断をしろと言っても、それは無理な要求なのです。

 

無理な要求をしている親や教師は、もっと考えなければならないですね。

 

脳神経的に脳神経細胞は、髄鞘(ずいしょう)という、さやなようなものが巻き付いています。

 

人間が生まれた時は、この髄鞘がほとんどなく、シナプス(電線のようなもの)が裸で露出しているのです。

 

その場合、情報を送る電気の速さは毎秒1メートルなのです。

 

しかし、髄鞘ができると情報を送る電気の速さが毎秒100メートなります。

 

要するに、常識的な判断ができない子どもは、脳の中での情報伝達速度が遅くて、大人のように素早く判断をすることが難しい状態ということなのです。

 

つまり問題は、性格や心の問題でなく、成長発達の遅れにあるわけです。

 

さて、時と場合によっては、当事者を叱らなければならない場合もあるでしょう。

 

しかし、叱ったら分かるようになるのではなく、脳の成長発達により徐々に常識が理解できるようになることを。私たち大人が分かっておかないといけなせん。

 

当事者が健康な成長発達を遂げることができるように、親や教師などの大人が見守っていくことが重要だと思います。