発達症から発達障害になり、成人になってから、その二次障害で精神障害になる方が多いと感じています。
全ての精神障害の原因が発達症にあるとは思っていません。
しかし、かなりの割合で発達症があって、その困難から精神障害となっている方がいます。
精神障害の家族の方の中で、「なんでも発達障害というのはおかしいのでないか」という方がおられます。
もちろんそうなのですが、精神障害の原因がすべて遺伝だとすると、恐ろしいことになります。
これは、優生保護法の問題です。
遺伝で障害者が生まれるのならば、避妊手術をして遺伝的に問題のある者からは子どもができないようにしようという発想です。
新聞などで、この問題が取り上げられていますが、つい数十年前まで日本でも優生保護法による強制的な避妊手術がされていたのです。
みなさんも考えてみてください。
すべての障害の問題は遺伝にあるとするならば、恐ろしいことになります。
過去にヒットラーなどが、遺伝的な問題から多くの障碍者を抹殺した歴史があるのです。
さて、私は発達症の原因を、生後からの環境との影響であると捉えています。
生まれつき視力のよい子どもが、自閉症スぺクトラム状態になり、その為に脳機能の成長発達に歪みが起きて、その為に脳機能全体の発達の遅れからADHDやLD、運動機能障害などの障害が現れます。
また、それらを総称して発達障害と呼ぶわけです。
つまり、"さまざまな障害が重なってまじりあっている"と考えた方ほうが、実態に合うと思われます。
その発達障害は、さまざまな症状を見せるので、状態を掴むのが難しく、支援も難しいです。
そのために、成人になる頃には、精神障害となっていくと考えられます。
”それならば、どうすればよいのか”ということですが、子どもでも大人でも、障害特性の現実を踏まえて、規制に価値観でなく当事者本位の支援が重要です。
つまり、あれができない、これができないと、当事者の苦手なことばかり取り上げないで、できていることを認めてほめていくのが大事なのです。
おそらく発達障害の二次障害による精神障害は、周りからの否定的言動や叱責などで自己否定になり、そこから起きているものと考えます。
成人期に差しかかった青年は、自己確立(アイデンティティ)が必要ですが、否定的経験ばかりであると、それができずに精神障害となっていくのだろうと思います。
周りの者と同じ行動ができなくても、「あなたはこれでいいのだよ」と接していくと、自己確立が可能になり、様々な症状が消えていくものだと考えます。
この話を少し参考にしていただき、発達症の支援に生かせてもらえたらうれしいです。