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実存分析~発達障害や精神障害の困難への解決の切り口

 

かつて私は、パニック障害(広場恐怖症)で苦しんでいた時期があります。

 

バスや電車などの乗り物に乗れない状態であった。

 

バスや電車が怖いわけではありません。

 

急に心臓が止まって死んでしまうのではないかと、不安で脂汗が出て苦しくて堪らなくなるのです。

 

そのために出かける時の電車は、必ず各駅停車に乗っていました。

 

苦しくなっても、すぐに降りることができるようにするためです。

 

特急や急行に乗れないので、ずいぶん不便でした。

 

 

 

このようなパニック障害で苦しんでいる方が、たくさんおられると思います。

 

 

 

この状態をどのように克服したのかというと、「実存分析」という手法を自分で使いました。

 

正確には、「逆説療法」と言います。

 

 

 

苦しい時に我慢をするのを止めて、どれだけ苦しくなるのか、自分で確認する作業をするのです。

 

この作業には勇気が必要でしたが、効果がありました。

 

いつの間にか、電車などの乗り物で苦しい状態にならなくなりました。

 

実存分析は、精神分析のフロイドの弟子にあたるフランクルという医者が考え出した手法です。

 

 

 

さて、どうしてこのような効果があったのかを、私なりに分析してみました。

 

 

 

そしたら、次のようなことが分かりました。 

 

パニック障害は、当事者が自分の体の状態にばかり注意を向け、自分の異常の観察を続ける結果で出てくるものです。

 

つまり、自己の客観化ができなくなっていて、そのために苦しくなってしまうわけです。

  

そこで、逆説療法という形で自分の状態を客観化して観察すると、苦しい状態と観察する自分との距離ができて、苦しさへの捉われから解放されるのだと考えます。

 

 

 

このことを私は「注意の移動」と考えています。

 

自分の注意を逸らすわけです。

 

この効果は大きいです。

 

 

 

自閉症スペクトラム障害や発達障害は、「こだわり」が強くて注意の移動が苦手です。

 

日常的に物事への視点を切り替えるのが、なかなかできないのです。

 

そのために、パニック障害になりやすいところがあるのです。

  

でも、視点を変えて注意を移動させると、症状は大きく改善していきます。

 

 

  

最新の認知行動療法では、このような方法を暴露法などと呼んでいるそうですが、たぶん、実存分析と同じような原理であると思います。

 

ただし、この方法は発達障害や精神障害を治療するものでなく、対処療法であることを伝えておきます。

 

それでも、パニック障害が消滅すると、自由に外出ができるようになったりするので、不登校や引きこもりの問題も解決していく可能性があると考えています