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「こだわらないこと」に「こだわる」~逆転の発想


 

子どもの時から何かと不適応を起こしてきて、大人になってやっと気づいたのは、問題が自分に「こだわり」が強いところがあることです。

 

目に見える物へのこだわりもありますが、日常の出来事や考え方などの目に見えないことにも、こだわりがありました。

 

自分では、「こだわりがあることをよいことだ」と思い込んで、どんどん増殖・強化させていたように思います。

 

だって、昔から腕のよい職人は物凄くこだわりがあって、それでよい物が作れると言われてましたから、自分もそのタイプの人間だと高いプライドを持っていました。

 

しかし現実の私は、プライドばかりが高くて、何にも能力がない人間です。

 

まわりから好かん奴だと嫌われ、孤立している状態でした。

 

鼻持ちならん奴だったようです。

 

 

 

さて、自分の強いこだわりに問題があるのだと理解していても、それをどのように解決したらよいのか、なかなか分かりませんでした。

 

ある時です。

 

異性から人気がある、好かれる同性を見ていると、その秘密が「こだわり」がなくて、さっぱりしていることに気づいたのです。

 

腹が立ちますね。

 

「べたべた」「ねっとり」している私とは大違いです。

 

「異性からモテる秘訣は、そこにあったのか」と理解しました。

 

 

 

そこで私が取り組んだのが、「こだわらないこと」にこだわる事です。

 

何かややこしい表現ですが、自分の「こだわる」特性を生かしながら、実際はこだわらない自分になる方法です。

 

いつもやっている方法にこだわらないように気をつけます。

 

食べ物にこだわらないように意識します。

 

他人の考え方にこだわらないで、自分の考え方にもこだわらず、自分の主張があっても、それよりよい考え方があったら、直ぐに取り入れて主張を変えます。

 

自分とは違う考え方でも否定せず、納得したら考えを変えるようにするのです。

 

私は、これを実践しました。

 

何だか節操が無いような感じですが、これを始めたことで自分の生活がずいぶん楽になりました。

 

特に、人間関係のトラブルで揉めることが減って、ストレスが溜まり難くなりました。

 

 

 

さて、発達障害というのは、その多くの方が自閉症スペクトラム障害とADHDの困難とが重複しています。

 

特に自閉症スペクトラム障害は、「こだわり」が強くあり、そのことでパニックを起こす人が居ます。

 

自分の思い通りにならないことが多いのです。

 

私も、その一人ですが、そんな強い「こだわり」をもっていたら、対人関係がなかなかうまくいきませんね。

 

そんな発達障害の方には、「こだわらないことにこだわる」、逆転の発想が役に立つかも知れません。

 

 

 

ところで、私が異性からの人気者になったのかというと、その答えは怪しいですね。

 

もう、異性に人気があるとかないとか、そんなものまでこだわらないようにしていますから、答えようがありません。

 

ただ、対人関係がうまくいくようになったのは、確かなことです。

 

私がモテたい一心で始めた取り組みですが、瓢箪から駒で、違うところで役立ちました。

 

現在では、この秘策の自分が「私の人格」を形成しているようです。