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メタ認知(統制するもう一人の自分)の作り方~社会的な役割をもつ

 

「どうすればメタ認知を育てることができるのでしょうか」という質問を受けることがあります。

 

「メタ認知」とは、自己を統制する自分であり、倫理観とか道徳心と言われることがあります。

 

分かりやすく言うと、自己中にならないようにする機能と考えてもよいと思います。

 

その場での自分の損得だけでなく、まわりの人の利益も考えた思考・行動ができるということです。

 

社会性といってもよいかも知れません。

 

脳の働きの場所で言えば、「前頭前野」(デコの部分)になります。

 

これが十分に備わっていると、人格者となるわけです。

 

「メタ認知」がうまく機能している人は、まわりの人から信頼され、誰からも好感を持たれます。

 

発達障害のような人や精神障害の人には、「メタ認知」がうまく機能していないように感じられることがあります。

 

当事者はどうしても、自分の障害や病気の症状ばかりに注意が向かっていて、残念ながら他者への配慮までもが、自己中心的な視点になっているのですね。

 

他者へ配慮をしているつもりでも、視点が相手でないので、結果的には対人関係がうまくいかないようになるのですね。

 

それは、「メタ認知」がうまく働いていないところに原因がありそうです。

 

 

 

 

では、この「メタ認知」(もう一人の自分)が使えるようになるには、「どうしたらよいのか」ということです。

 

その答えは、自分に役割を与えて、役割上で考えて行動することです。

 

つまり、「役割上の自分」が「メタ認知」になるのです。

 

集団活動や集団生活の中で、責任をもって自分が役割をもつことが重要になります。

 

役割といっても、責任が重いリーダーでもよいのですが、お茶くみ係でも、掃除係でも、要するに自分にできることならば何でもよいのです。

 

役割とは社会的なものなので、「自分でない自分」のような存在になります。

 

この役割を責任をもってやっていくと、自己中とならない「もう一人の自分」つまりは「メタ認知」が育っていきます。

 

この「メタ認知」が働くようになると、他者からの信頼を得て、人間関係がずいぶんと楽になります。

 

 

 

さて、現在の自分の状況を、何とか変えていきたいと思っておられる方は、「役割をもつ」ことから始められたらいかがでしょうか。

 

実は私も役割を持つことで、うまく「メタ認知」を使ってきています。

 

一般に自分を変えるのは、なかなか難しい作業です。

 

でも、役割を持つ方法によって、比較的簡単に実行可能だと思っています。