社会には、みなさんが想像されている以上の多くの自閉スペクトラムの特長を持つ方がおられます。
精神疾患などがなく、日常生活が送れている方たちです。
どうやら、私もその一人になるような感じです。
会社の上司が自分勝手で部下のことを考えていないとか、旦那が嫁のことを考えず冷たい等と言う話はよく耳にします。
たぶん、これらの人は「非障害自閉症スペクトラム」なのでしょう。
「こだわり」や「コミュニケーションの困難」などの特性を持っているとしても、ある程度の社会適応ができていれば、障害と言えないからです。
私も、このような問題を感じている方から相談を受けると、その回答に困ってしまいます。
どうしてかと言うと、「精神科病院に行かせた方がよいのではよいか」と言う話になってしまうからです。
仮に自閉スペクトラムの特長があったとしても、精神科病院へ通ったら薬で治るわけでありません。
ですから、問題解決は、まわりの者が非障害自閉スペクトラムの人との付き合い方を変えていく方法がよいです。
言いたいことですが、何でもかんでも障害にしてはいけないということです。
自閉スペクトラムの特性は、個々の強弱がそれぞれが違い、それが虹のように連続している状態にあります。
特性が強い人もいれば、緩やかな人もいるのです。
学校でも、社会性の乏しいちょっと変わった子どもに対して、「発達障害の疑い」みたいな感じで扱っているようなところもありますが、二次障害と考えられる「感覚過敏」や「強迫性症状」等がなければ、そんなに大した問題でないと考えます。
ただし、これには本人が病院へ行くこと以上に、学校側の配慮が重要になるのです。
さらにみなさんへお伝えしたいことは、当事者は自分の特性についての自覚ができないところに特徴があることです。
ですから、まわりの者がいくら本人に気付かせようとしても、ほとんど無駄です。
本当は、時間経過の中で成長発達により、困った部分が徐々に解決されてくるのですが、簡単にはいかないということです。
困った上司や旦那、学校での生徒を相手されている方は、なかなかしんどいと思います。
でも、その人を変えようとしも、かなり難しいです。
よく、考えてみてください。
その問題の方も悪気があってやっているわけでありません。
無自覚なのです。
ですから、その方のよいところを見つけて、その上で付き合い方を変えていくのがよい方法でしょう。
相互に信頼感がある関係を作っていただきたいです。
ちょっと弁護しておきたいのですが、非障害自閉スペクトラムの方の多くは、まじめでがんばりやで正直な方が多いです。
また、知的脳力が高く、ノーベル賞を受ける人なども多くいます。
冷たい感じのところもありますが、温かい感情がないわけでありません。
表現が下手なだけなのです。
私も窮地の時に、女房から「あなたは優しい人だから」と一言を言ってもらったことで、人生がガラりと変わりました。
思いもよらなかった言葉で、その時から私は優しい人間であろうと決めて、今日まで来ています。
女房に感謝しています。