「発達障害の原因は何か」と問いますと、ほとんどの方が遺伝と答えると思われます。
もちろん、遺伝要因が大きいと考えられます。
でも、私は「発達症」という考え方をしていまして、その部分に関して遺伝の部分が関わっていると思っています。
つまり、遺伝要因だけでは「発達障害」に至らないかも知れないと考えているのです。
さて、困った「発達障害」症状の大きな原因と考えられるのは、学校教育の影響が大きいでしょう。
学校ではすべての子どもが学力・社会性などを同じ水準に到達するようになっています。
それでは発達症の子どもはどうしても適応ができないわけです。
そこで、特別支援教育ということになります。
ただし、その特別支援教育の方向が、発達症の子どもの全体活動への参加を目的としています。
そこで、発達症の子どもは、さらに不適応を起こす事態になるわけです。
つまり、定型発達の子どもに近づけるのが目標になっているので、発達症の子どもには無理があるのです。
具体的に言うと、無理やり校内集会へ参加させられたり、運動会へ出場させられたり、本人の望んでいない嫌な活動を強制されるようなことになるのです。これが特別支援教育の現状だと思います。
本来の支援は、当事者の特性や実態などを踏まえて、それに合わせてなされるのが理想です。
しかし、現実は当事者のことでなく、全体活動への参加が大きな目的になっているわけです。
その支援で起きることは、「これだけ支援をしているのに、わがままだ」とか、「学校では手に負えないので病院で薬をもらって飲むように」とか、そんなことが起きてきます。
それだけでなく、「これだけ言っても分からないのか」とか、「お前みたいなのはどうしようもない」と思ってしまいます。
つまり、支援する教員自体が無気力になってしまいます。
当事者にとっても、学校が不快な場所になっていきます。
このようなことになる原因は、支援が当事者の方を見ていないからです。
このようなことになっていると気付いている人は、かなり少ないと思われます。
言っておきたいのですが、私は学校教育が悪いとか、教員が悪いとか思っているのでありません。
学校も教員も一生懸命に支援をしようとがんばっていると承知しています。
ただ、その方向性について一言を伝えたいと思うのです。