親から、「自分の子どもが発達検査で、このような問題があると指摘された。」などと、どうしたらよいのかを相談されることがあります。
このような子どもは、発達障害であり、「自閉症スペクトラム障害」と診断されることが多いようです。
親にとって、診断されたからといって、何をどうしたらよいのか分からないのが現実です。
もし、何かできることがあるとすれば、その障害特性を理解して、できないことを子どもに口うるさく言わないようにすることでしょうね。
自閉症スペクトラム障害は、各人の特性がそれぞれ違っていて、無数のタイプがあるのです。
共通しているのは、「コミュニケーションが苦手なこと」と「こだわりが強いこと」の2つぐらいでしょう。
その他の生活上のさまざまな問題は、各人によって全然違うわけです。
要するに、「自閉症スペクトラム障害」というのは、かなり広い範囲を指しているということです。
ですから、診断が出たからといっても、何をどうしたらよいのかは、あまり分からないのです。
さて、「発達検査」の話に戻ります。
発達検査は、「自閉症スペクトラム」の診断のために開発されたものでありません。
もともとは、戦争へ行く兵隊を徴兵するために作られたものです。
兵隊として相応しい能力を持っているかどうかを、検査することで判別するためのものでした。
ですから、「合格」か「不合格」かを判別します。
その基準は、検査結果の平均値を基にしています。
平均から、「上か下か」が基準です。
能力が不足している兵隊が、銃や機関銃、大砲や爆弾を操作することになると、大変な危険がありますね。
それで発達検査をして、徴兵の基準としたわけです。
昔は、学校へ通ってなくて文字が読めない人も多かったので、自分で文字が読めない人がいました。
それで文字が読めなくても、検査が可能な方法が発明されました。
(確かに、学歴がなくても頭のよい人はたくさんいますね。)
その流れが、現在も続いているわけです。
現在の発達検査は進歩していて、正確に能力が分かるところがあります。
しかし万能でなく、能力の一部が分かるというぐらいだと思われます。
ですから、細かなことなどは、あまり分からないのです。
要するに、発達検査をして診断されたからといって、診断名にこだわってしまうと、具体的な支援が分からなくなります。
親は、子どもの状態をよく観察して、どこで・何に困っているのかを具体的に把握して、その部分の支援を考えていくのが重要になると思います。
私は、診断が出ても、何よりも大事なのが「愛してやること」と思っているのです。
診断が出ても、あなたの子どもであるのは変わらないからです。
たくさん、愛してやってくださいね。