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責任の所在~被害者意識から起きる親子間の不仲


 

発達障害や精神障害の当事者は、「こんな家に生まれたくなかった」とか「普通の人間に生まれたかった」などと言って、親を責めている方がいます。

 

親の方は、「子どものために苦労ばかりしている」とか、「親としては死ぬこともできない」などと言って、子どものために煩わしい思いばかりしていることを嘆きます。

 

子どもを責めているわけです。

 

このように、当事者と親の双方が、相手を責め合っていることが多いです。

 

本当は、当事者の責任でもなく親の責任でもないのですが、苦しさやしんどさのあまり、もっていくところがない不満をぶつけ合っているのですね。

 

この状態を続けていると、親子の会話がなくなり、断絶のようになります。

 

引きこもりとなっている当事者の多くの家庭が、このような状態だと思われます。

 

親子で話をしないので、当然、何の相談もしません。

 

そして、何年もの時間が過ぎていくわけです。

 

 

 

さて、大事なのは当事者も親も、相手を責めることを止めることです。

 

そして、家庭では仲よく会話ができる環境を作ることです。

 

当事者にとっては、落ち着いた生活を送るのが、何よりも大切なことなのです。

 

落ち着いた生活は、当事者の脳機能を安定させるので、パニックが起きにくくなります。

 

要するに興奮しなくなるのです。

 

たぶん、体調もよくなるでしょう。

 

だけど、親が不必要な細かい苦言ばかり言って責めると、当事者に不満が溜まって情緒不安定になります。

 

そして、ますます親子関係が不仲の結果になるのです。

 

そのような困った状態になっている親子は、ものすごく多いです。

 

そして、未来への展望が描けず、希望がない絶望的な気分となっているわけです。

 

 

 

さて、私がこのようなことを言うと親は、「どうして自分が犠牲にならなければいけないのか」と反論されますが、「意地にならずに親の方から仲よくしていくことが必要だ」と思います。

 

薬をたくさん飲んでいる当事者の方から頭を下げて折れさせるのは、無理があり簡単にはできないからです。

 

責任の所在は、問わない方がよいのです。

 

親が折れて、細かい苦言を言わなくなると、当事者の情緒は必ず落ち着いてきます。

 

その結果、親子関係が修復される可能性が高くなるのです。

 

親子が仲よく過ごせるようになるのです。

 

このような快い生活を送っていると、親も気持ちがよいですし、当事者もだんだんと元気が出てきます。

 

親も当事者も、本当に望んでいるのは、このような平和な家庭でしょう。

 

 

 

この実現には、時間がかかります。

 

何年も必要かも知れません。

 

不仲の時期が長かったら、その分、回復への時間が必要なのです。

 

 

 

でも親が徹底して、この働きかけをすると、当事者にも反省のようなものが起きて、お互いに歩み寄りが始まります。

 

ですから、親の決意が当事者の変容のきっかけになるのです。

 

親子で仲よくして欲しい。これが私の願いなのです。

 

血の繋がった親子だから、どんな苦しい時でも支え合うことができるはずです。

 

当事者にとって、親以外に誰も本気で助けてくれる人がいないでしょう。

 

当事者は偉そうなことを言っていても、心の奥に親を頼りにしたい気持ちがあるのです。

 

当事者を助けてやってくださいね。