発達障害や精神障害の家族の方から急に私のところへ連絡が入って、「息子が暴れているのでどうしたらよいでしょう」という緊急相談が時々あります。
家族の方にすれば、事態にどのように対応したらよいのか分からない状態になっているのです。
このような相談を受けても、私は無力です。
残念ながら、効果がある方法を持ち合わせていません。
それで、家族の方には、「少し離れて、当事者が落ち着いてくるのを待ちましょう」と返事をします。
さて、さまざまな支援は、当事者が落ち着いている状態であってこそ、その効果があります。
異常な興奮状態の当事者に、心理的社会的な支援は役立ちません。
家族としては、一刻も早く異常な事態を収束させたい思いを持っているのを理解できますが、本当に手立てがないのです。
冷酷に対処しているのでありません。
後日に家族と会って、詳しく丁寧に話を聞くと、当事者が病院から処方されている薬を勝手に止めていることが多いのです。
当事者が暴れるような異常行動を起こすのは、薬を途中で止めた為に起きている離脱症状・禁断症状だったりするのです。
一般に相談を受けると「うちの子どもはアスペルガー(自閉症スペクトラム障害)で、〇〇〇〇」という話が多いのですが、爆発的な異常行動の場合は薬物の禁断症状であることが多いです。
つまり、障害とは直接関係がないのです。
ところが家族の方は、「アスペルガーの症状が悪くなった。どうしよう。」と悩んで絶望的になったりします。
言っておきますが、自閉症スペクトラム障害が原因で暴れたりしません。
薬物については、病院から中断してはいけないと説明を受けているはずなのですが、どうしてなのかを深く考えないで、風邪薬やビタミン剤と同じような感覚でいるので、このようなことが起きてきます。
薬の服用は絶対に中断が駄目なのです。
さて、原因が薬物でない場合は、距離をとって当事者のクールダウンを待ちます。
そして、落ち着いた状態になってから、「何を怒ていたのか。」と冷静に話を聞きましょう。
通常、当事者も興奮した後に冷静さを取り戻しますので、興奮した理由を話してくれるはずです。
また、大事なのは、興奮している最中に関わっていかないことです。
興奮している最中に関わっていくと、火に油を注ぐようになり、いつまでたっても興奮が収まらない状態になります。
ここは注意してください。
何よりも大事なのは、日常生活の中で当事者を興奮させないことです。
情緒が安定した生活を続けていると、パニックや興奮を起こさなくなります。
不要な刺激を与えないことが重要です。
このことを実践していると、当事者は落ち着いてきますので、家族全員が気持ちよい生活が送れるようになります。
家族は、当事者を温かく見守る支援を大切にしてくださいね。