発達障害や精神障害の当事者の家族へ、「細かなことにこだわらないように」と伝えています。
その理由は、当事者が細かなことを指摘されるのを嫌がるからです。
当事者の「地雷を踏む」と表現をされることがありますが、これは親が余計なことを言うことで当事者が激怒するという意味ですね。
たった一言で、激怒だけでは済まずに当事者が大混乱を起こすこともあります。
そんな事態を避けるために、当事者に対して余計なことを言わず、なるべく刺激しないようにした方がよいと助言しています。
親は、「そんなことをしたら当事者は、自分勝手にやりたい放題になって、社会性も身につかず自立できなくなる。」と言われます。
でも、口うるさく言っていたら、社会性がついて自立できるようになるのかと考えると、それはありませんね。
ですから、うるさく言っても、何も言わなくても、結果はほとんど同じだと思われます。
何も口を利かないとか、会話をしない等と言っているのでなく、「不要な発言をしないように気を付けるようにしましょう。」と言っているわけです。
これを心がけると、親子喧嘩が格段に減ります。
当然、親子関係がよくなってくるのです。
当事者が機嫌よい生活を始めます。
親から、うるさく言われないのだから、家が落ちつける場所になるのですね。
その結果、親も情緒の安定した生活が送れるようになるのです。
親子関係が修復されて、仲よくなってきます。
このことで親の情緒安定だけでなく、当事者も心が安定してくるのです。
その結果、当事者は親子喧嘩に使っていたエネルギーの必要がなくなり、そのエネルギーを他のことに使えるようになります。
外出したり、自分がやりたかったことをやり始めるのです。
さて、当事者の落ちついた状態にする大きな目的は、他にもあります。
当事者が混乱した時に、回復に向かう健康な自分の心の場所を明確にすることです。
当事者が落ち着いた状態の生活を長く続けると、自分の平常の精神が健康な状態が分かってきます。
記録されるわけです。
もし当事者が混乱しても、そこが分かっていると早く普段の自分に戻れるのです。
当事者の問題は、混乱した後に戻る健康な自分の場所が分からないところにあります。
よく当事者が、「自分が分からない」と言いますが、これは、「自分の戻る場所が分からない」という意味ですね。
ですから、当事者が混乱を起こしても、ちゃんと戻る場所を用意するのが、親などの家族の仕事かも知れません。
当事者に余計なことを言わず、情緒の安定した生活を継続させる。
一度試していただけると、その効果のほどが分かると思います。