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「心の理論」とは~「場の空気が読めない」問題を考える


 

東京オリンピック誘致の時に、「お・も・て・な・し」という言葉がはやりました。

 

その後、森友問題の時に、「忖度(そんたく)」という言葉が出てきました。

 

「心の理論」とは、このような相手の気持ちを思い図るという意味があるのです。

 

「心の理論」には、「理論」という言葉が付きますが、じつは「能力」のことです。 

 

さて、人間は動物なので本能的なところで行動するところがあります。

 

これは、古代の人間がまだサルだった頃の話です。

 

猛獣から襲われて食べられないように、何でも動くものを見ると、自分を襲ってくる意図があるのではないかと認識するようになったようです。

 

ですから本能的な部分で、動くものは生き物であり自分を襲ってくるかも知れないと、認識するように人間が進化したと考えられます。

 

現代でも宗教で自然界に存在するものには、神が宿ると考えられています。

 

それは、人間が動くものすべてを生き物として認識するからでしょう。

 

原始宗教では、アミニズムと言って生物・無生物を問わず精霊が宿っていると考えます。

 

山や川などもです。シャーマニズムも、これですね。

 

この本能は、現代の私たちにも残っていて、みなさんも絵に描かれた漫画を、まるで生き物のように感じるところがあるでしょう。

 

ですから、古代のアミニズムが語源になって、現代のアニメになっているようです。

 

アニメが動くと、まるで生き物のように感じるのは、「心の理論」が働いているからです。

 

また、その動き方から、「怒っている」とか「喜んでいる」とかの感情までが伝わってきます。 

 

さて、人間は「心の理論」を持っているわけですが、その能力がちょっと弱いのが発達障害です。

 

そのために、「集団の場の空気が読めない」とか、「自己中心的で協調性がない」等と言われます。

 

発達障害が、まったく「心の理論」が使えないわけでありません。

 

多少は使っているわけです。

 

また、成長発達のところで、「心の理論」をだんだんと使えるようになっている方もいます。

 

現代の大きな問題は、発達障害当事者に対して、まわりにいる者が「心の理論」を使っていないように感じるところです。

 

「心の理論」を上手に使えることを常識として、発達障害に「その常識的能力の域」まで来ることを要求しているところがあります。

 

要するに、自分は発達障害に対して「心の理論」を使わないのに、当事者に「心の理論」を要求しているように感じます。

 

発達障害に対しては、「心の理論」を使って、優しく親切に「おもてなし」をして欲しいと願っています。