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当事者グループワークのねらい~過去の囚われからの解放する


 

当事者グループワークは、どのようなことを目的にしているのか。そこがよく分からないところがあります。

 

一般に、SST(ソーシャルスキル・トレーニング)をするところだと理解されているような気がするのです。

 

しかし、発達障害は脳機能の成長発達の遅れなので、簡単な挨拶の仕方やお礼の言い方みたいな練習をやっても、あまり役に立たないと思います。

 

私は発達障害や精神障害の方の当事者グループワークをやっています。

 

そこで、何をねらいにしているのかを言うと、過去の囚われからの解放を狙っています。

 

これは簡単にできることでないのですが、当事者が過去の嫌な経験に囚われ、心の身動きがとらない状態になっている方が多いので、「今ここ」(実存の世界)を大事にする作業をするのです。

 

当事者の嫌な過去の体験の話があった時に、「今のあなたは、そのことをどのように思いますか。」と、現在の当事者の気持ちに焦点を当て、素直に気持ちを語っていただきます。

 

そうすることで、今・現在の自分を体験することができるのです。

 

当事者は、過去への囚われが強く、その為に未来への希望を持てない状況にいます。

 

また、過去の出来事がトラウマのようになっていて、心身を攻撃しています。

 

 

 

それを克服するのが、「今・ここ」の自分を体験するところにあるのです。

 

 

 

過去の体験を話すことで、問題を客観化(メタ認知)することが起こり、苦しさと距離をとれるようになるのです。

 

すこし、楽になるということです。

 

その結果で思考や行動が変化し、いろいろな成長発達が起きてきます。

 

 

 

ただ、この作業には、当事者に自分の過去を語って、苦しい自分の状況を変えたいという意志が必要です。

 

何とかしたいという思いがある当事者でなければ、残念ながらうまくゆきません。

 

当事者が自分の悩みを何とか解決したいという気持ちになるまで、家族は温かく見守って、落ち着いた生活が続くように支援をしてくださいね。