私は、アクション人気俳優のジェイソン・ステイサムが出演する映画「トランスポーター」や「メカニック」のファンで、よく観ています。
これらは、暴力的なシーンが多くて、殴ったり蹴られたりする場面が連続します。
おもしろいのは、ジェイソン・ステイサムが相手から思い切り強く殴られても、すぐに立ち直って反撃を開始するところです。
これは作り物の映画なので、観客を楽しませるために、そのように超人の設定となっているのでしょう。
現実に、あのように人を殴ると、一発で致命傷になるだろうと思います。
そう考えると、何度でも立ち上がるジェイソン・ステイサムは強い心を持っているのでしょう。
ただし、作り物の娯楽映画の役柄の中の話ですが…。
さて、最近は東京オリンピック開催の話があるので、日本のマスコミで「強い心」とか「強い精神力」みたいなことがよく言われています。
私はそんな言葉を聞くと、太平洋戦争中の「大和魂」を連想して、嫌な気分になるのです。
かつてかつての軍事国家の日本は、「大和魂」みたいな怪しい言葉を操って、国民を悲惨な結果に追い込みました。
大和民族(日本民族)が他の民族よりも優れていて、「根性があるから負けない」と言われていたのでしょう。
「神国日本」みたいなものは、バカバカしい言葉で、国民は騙されました。
また、最近になって、再び「大和魂」みたいなものが流行り出しているのかと思うと、情けない気持ちになっています。
では、「強い心」とは、何なのでしょう。
人間の限界を超えて、神のように戦える力のことを言っているのでしょうか。
「ストレス理論」から考えると、こんなものは殺人的行為であると思っています。
「アドレナリンが出た」という言葉も聞くことがありますが、アドレナリンは心身に異常を起こすストレス物質です。
猛獣に襲われたりして、人間の命に危険が迫った時に、命がけで生き延びるために戦う時に「アドレナリン」が出ます。
ですから、戦いには、かなりのストレスによる精神的・肉体的な負担があるのです。
このような「アドレナリン」が出るような状況が続くと、自殺や病死が起きてきます。
簡単に言うと、ガンガンとがんばっている状況というのは、とても異常な状態であるわけです。
スポーツ選手は、このようなことも必要があるかも知れません。
(米国・大リーグの大谷翔平選手を見ていると、強い心であのようになれるとは思われませんがね。)
しかし、普通の人間は、落ち着いた平和な暮らしが大事なのです。
少しぐらい弱い心でもよいのです。
それで、自分を責める必要はありません。
「強い心」になろうとして、病気にならないように、みなさんも気をつけてください。