「この経験の中で自分が成長できた」
「これがなければ自分はつまらない人生を送っていたことだろう」
発達障害や精神障害の当事者の親から、このような言葉を聞くことがあります。
当事者の状態が落ち着いてくると、親も心に変化が起きて、自分自身をふり返られるのだろうと思われます。
当然のこと、騒動の渦中にいる時の親は、地獄のような苦しみに耐えておられたのでしょう。
さて、「四苦八苦」はお釈迦様が説いた言葉だとされています。
本当かどうかは、分かりません。
四苦とは、生・老・病・死であります。
また八苦とは、愛情・別離・欲・煩悩のことでしょう。
つまり生きていると、苦しみから逃れられないということですね。
私だって、苦しむことなどは嫌です。
避けて通りたいです。
でも、子どもが発達障害や精神障害の当事者であると、親は避けられない苦しい境遇に晒されます。
そこで親たちの多くは、人権感覚を磨いて社会悪を許さない人格となっていかれます。
苦しみ抜いた先の「悟り」みたいなものが起きてくるのでしょう。
苦しみ続けるのはつらいですが、その先に心の平安があると信じたいですね。
さて、カウンセリングの話です。
カウンセリングでは、起きている問題を直接に解決することができません。
その意味では無力なのです。
そしたら何をするのかというと、その方が問題を抱えながらも生活ができるように、心を支えるのです。
苦しいのは、問題を拒否するところから起きています。
ですから、その方の心に寄り添って、その方の心の負担を少し減らす役割をします。
そのことで悩みの問題は何も解決しないのですが、その方がだんだんと問題を受け入れられるようになってくるのです。
それがカウンセリングの過程です。
発達障害や精神障害などの問題でなくても、生きているということは悩みが尽きません。
「四苦八苦」です。
大事なことは「苦しみから学ぶ」ことでないかと、家族の方から教えられている私です。