まず、はじめに確認しておきたいことがあります。
"発達障害の当事者が悪いということではない"ことと、"その家族も悪くない"ことです。
「カサンドラ症候群」は、関係性の問題であることです。
カサンドラ症候群は、夫婦の片方が発達障害であった場合、もう片方の方も精神状態が悪くなっていくというものです。
この問題の状態は、夫婦関係に限らず親や家族にも起きてくることです。
発達障害当事者はこだわりなどがあり、まわりの者から理解不能な行動や言動をすることがあります。
家族が当事者に振り回されることになるのです。
このような状態になると、家族は当事者に何とか言動や行動を改めてめるように説得を試みますが、うまくいきません。
むしろ当事者は、自分が疎外されているように感じて、攻撃的になったりします。
当事者は、自分の発達障害の特性についての自覚ができないからです。
次に、家族は当事者を理解しようとしますが、その努力でますます混乱する状態になってしまいます。
自閉症スペクトラム障害などの発達障害の理解は、なかなか難しいのです。
そのようなことで、熱心な家族は不安定な精神状態になり、家族自身が攻撃的となったりして、精神疾患と似た症状が出てくることがあるのです。
この状態は泥沼でありますが、多くの発達障害当事者のいる家族が、そんなしんどさを抱えていると思われます。
さて、ある程度の解決策の提案です。
当事者も家族も、悪くありません。
お互いの関係性の問題です。
ですから、少し心の距離をとることが重要です。
私は、当事者も家族も、お互いを理解するのが不可能な部分があると、そのように認識することが大事だと考えています。
家族や夫婦などの近い関係にあると、相手を理解して助けてあげたいという愛情があります。
それをしないと愛情がないように感じてしまうところもあります。
それでがんばってしまうわけですが、相手を別の人間であると違いを認めて、その上でよい関係を保つことも大事なことです。
カサンドラ症候群は下手をすると、憎しみ合うような結果につながりかねません。
当事者も家族も、落ち着いた健康的生活を送るためには、相互の関係性について考え直すことが重要です。
この「温かい割り切り」のようなことができると、関係がよくなることが多いように思います。