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アスペルガーとは~知的障害ではない自閉症


 

発達障害は発達障害支援法で、自閉症スペクトラム、LD、ADHDなどを想定しています。

 

ですから、アスペルガーは現在の診断名で、自閉症スペクトラムとなります。

 

診断基準の改正で、アスペルガーの診断名がなくなり、過去の自閉症や高機能自閉症、アスペルガーなどのすべてが、自閉症スペクトラムの診断名となりました。

 

 

 

さて、アスペルガーですが、この名前はドイツのアスペルガーという医者が見つけた自閉症のタイプのことです。

 

簡単に言うと、知的障害を伴わないタイプの自閉症のことです。

 

第2次世界大戦中だったことや、戦後も悪名高いドイツでの発見であったこと、また英語に訳される機会がなかったことがあり、世界中に広がるまでにかなりの時間がかかったので、センセーショナルなイメージがあるのです。

 

 

 

現在では、知的障害という別の診断が出るようになったので、自閉症スペクトラムと言えば、アスペルガーのことを指します。

 

知的障害が伴っていれば、一緒に知的障害の診断名がつくのです。

 

2つに診断名になります。

 

 

 

アスペルガーは知的障害がないところで、誤解されて苦しい目に遭うことが多いです。

 

本人の知識が豊富だったりするので、これぐらいなら分かるだろうと、複雑な社会性のある行動を要求されてしまうのです。

 

ですがアスペルガーには、それができません。

 

そこで、相手をひどく怒らせるようなことが起きてしまいます。

  

どうしてこのようなことが起きるのかというと、一般に世の中の人は、自閉症を知的な障害だと理解しているからです。

 

知的障害でないから、出来るはずだと思って腹を立ててしまうのです。

 

そんなことがあるので、当事者は悩み苦しみます。

 

 

 

さて、もう一人オーストリアのカナーという医者がいます。

 

彼は知的障害を伴うタイプの自閉症を見つけた人です。

 

発見した時代はアスペルガーと1年しか変わらず、ほぼ同じです。

 

それまでは幼児精神病と考えられていたのですが、自己を閉じている傾向があるところから、自閉症と名付けました。

 

 

 

精神病でない診断をしたところは、画期的な貢献です。

 

 

でも、患者の子どもの家庭が裕福で、親が医者や弁護士、政治家など、社会的地位が高く経済的に裕福なところがありました。

 

そこで、彼は原因が親の育て方の問題にあるのでないかと考えました。

(この考え方について、現在では世界中で全否定されています。)

 

 

 

またその考えに同調したのが、アメリカのベッテンハイムという有名なユング派の心理学者です。

 

親の愛情不足から自閉症になると発言したものですから、あっという間に世界中に「愛情不足」の考え方が広まり、親子の悲劇になりました。

 

ですから、有名な学者だからと言って、そのままに信じるとひどい目に合うかも知れないという話です。

 

さて、アスペルガーとカナーは、医者の名前のことです。

 

ですから、この名前のことよりも、どのような支援が有効なのか、そこを大事にしていただきたいと願っています。