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どうして精神科は入院治療が多いのか~歴史的な背景について


日本の精神科医療は入院治療が中心で、いわゆる世界の先進国の5倍にあたるベッド数になります。
簡単に言えば、入院の必要がない患者まで入院させているのです。
精神科治療の費用は国費で賄うので、患者や家族に金銭的負担が少ないですが、大変な金額の国費が精神科医療に使われています。
2兆8千億円と言われますが、そのうちの2兆円ほどが入院治療に使われ、健康保険の予算は全く足りないので、莫大な国費の税金が投入されています。
それで儲かるのは病院です。
ものすごい利益があるでしょう。
でも、その予算の一部でも患者の在宅地域医療や社会復帰・就労支援に充てることを考えて欲しいと願うのです。
発達障害・精神障害の患者は、やはり家で家族と過ごしたいと願っていますし、元気になったら働きたいと思っているわけです。
さて本題です。
どうして日本の精神医療では入院治療が多いのかという話です。
戦前の大日本帝国では、「日本の兵隊さんは強いので心の病気になる者が一人も居ない」と発表していたのです。
しかし実際は、軍隊での教練という暴力やリンチなど非人間的な扱いばかりで、かなり多くの人が精神疾患になっていました。
またボルネオなどの南方戦線では、蚊に刺されて発症するマラリアという病気に罹り、マラリアの後遺症での精神病になるものが多くいました。
ですが大本営は、誰も精神疾患になっていないと発表したので、精神障害となった兵隊さんを隔離施設へ入れて隠したのです。
それが、日本の精神医療が入院治療中心になることの始まりです。
また、その情報を終戦後も隠して、独自の国立精神科病院を作って兵隊さんを隔離していたようです。
そのほとんどすべての兵隊さんの患者は家に帰れず、死ぬまで入院させられていたようです。
このような秘密を抱える精神科病院の状況が、精神病患者が怖いという偏見や差別を生む根源になったように思えます。
現在でも、ほんの少数の兵隊さんの患者がいるらしいのですが、ほとんどは一般の精神疾患の患者です。
ですが、どうも精神科入院治療の方向は変わっていないようです。
たぶん、その理由は、入院治療をする方が病院が儲かるからだと思います。
兵隊さんは、軍隊でのリンチなどや戦場での恐怖などで心を病み、精神障害になりました。
現在は、発達障害と言われる人たちが、酷い扱いを受けて精神障害になっています。
心の病気なのだから入院して治療したらよいという考え方でなく、みんなの人権が守られる優しい社会にしていくのを目指す方向となって欲しいですね。