世間で、若者の「ため口」が問題になりますが、発達障害と言われるような人には、似たような別の問題があります。
小さな子ども相手に話をする時でも、敬語のような話し方になるところがあるのです。
これは、当事者全員ということでありませんが、多くの人の傾向としてあります。
若者と言えども、大人が子どもに対して敬語を使っているのは、違和感を与えますね。
さて、どうして敬語になるのかを考えると、とりあえず安全な話し方として使っているように思います。
「ため口」は、立場が同等の人への話し方です。
ですから、家で親などには「ため口」で話をしているのだろうと思いますが、家の外の世界に出た時に、どのような話し方をすればよいのか分からないのだろうと想像します。
そこで、誰に対しても「敬語」を使うようになっているのでしょう。
発達障害は何でも極端で、「ゼロか百か」と言われますが、言葉の使い方でも同じようなことが起きているのかも知れません。
言葉の使い方というのはとても複雑で、基本的に相手が目上や上司ならば敬語ですが、仲のよい友達や家族ならば「ため口」です。
しかし、時間の経過の中で親密さが変化した時、言葉の使い方も少し変化してきます。
友だち間でも、親しい関係である場合と、あまり親しくない関係とでは話し方が変わりますね。
発達障害と言われるような方は、このような複雑さに対応ができず、何でも敬語というようになっているのでしょう。
ですが、このような言葉の使い方を、無理に修正させようとしない方がよいと思います。
当事者を、ますます混乱させることになるからです。
言葉の使い方は、対人関係の経験を重ねることによって少しずつ学習することができます。
ですから、とりあえず他者と関わっていく経験が大事になるのです。
他者との関わりの中で、他者から話し方を学んで、いずれはスムーズな会話が出きるようになると考えます。
「幼い」と言えば、そのようなところがありますが、上手に会話ができるようになるように、家族やまわりの者が温かい気持ちで応援してやってください。