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「がんばらないでください」の理由~ランナーズ・ハイから考える


元旦に朝からテレビでニューイヤー駅伝が放映されていました。
選手は苦しそうに走っていました。
今回は、苦しさの快感についての話です。
数年前に、私は精神障害者の家族会の講演会へ招かれました。
そこで「家族の方はがんばらないでください」と話をしたのです。
そしたら、「このような家族の講演会で、『がんばらないでください』という言葉を聞いたのは初めてだ。」と反応がありました。
「どこの講演会でもみなさん、『がんばりましょう』と言うのに、驚いた。」というわけです。
たいていの精神障害者の家族は当事者とのトラブルで、くたくたに疲れています。
それなのに、「がんばりましょう」の言葉は、とても獄ですよね。
もう一つの理由として、「苦痛の快感」の問題もあるのです。
共依存(この話はまた今度)と関係があるのですが、苦しいのが快感みたいなところもあります。
当事者も家族も、本心ではそのようなことを望んでいないのですが、気付かないうちに苦しい状態が日常化してしまうのです。
そして、そこで状態が安定してしまうわけです。
これは、当事者にも家族にも健康上で悪い状態です。
苦しくてたまらない絶望の状態です。
でも不思議なことに、どこか快感でもあるのです。
人間は死ぬほど苦しくなると、痛みや不安が消える自然の作用で、オピオイドという脳内麻薬が分泌されます。
βーエンドロフィンの名前が使われることもありますが、これは最強麻薬であるモルヒネの17倍強力の効果があると言われています。
それが、脳の中にあるのです。
要するに、苦しまないで死ねるように"オピオイド"が出るようになっています。
ですから、死ぬほどのつらい苦しみに遭うと、気持ちよさがあるのです。
余談ですが、SEXの時にもオピオイドが出ているそうです。
エクスタシーの快感は、オピオイドの作用かも知れません。
生存本能のところで、作用しているのですね。
性欲の正体は、オピオイドということですね。
不思議ですよね。
ランナーズ・ハイは、マラソンなどで体力・気力がギリギリになった時に脳が死期だと勘違いして、オピオイドを分泌させる現象です。
苦しさが消えて、「永遠に走れ続けることができる」、そんな気分になるそうです。
ですが、脳内から出てると言っても強力な麻薬ですから、中毒になるのです。
要するに、「走って苦しい状態になって気持ちよくなりたい中毒」になるのです。
麻薬ですから依存性があって、なかなか止めることができません。
最後は、体を壊してしまうのです。
さて、発達障害や精神障害の家族の方は、苦しさの快感に気を付けなければなりません。
少し、オピオイドが出ているのかも知れません。
苦しさに酔うというところもありますが、本当に必要なのは、親などの家族が心身健康であることです
当事者はどうしても異常な行動や言動になりがちですが、それを冷静に受け止めて対処する支援が大事になります。
当然、当事者からのトラブルに巻き込まれていくところもあります。
でも、少し冷静な気持ちになって考えてみるのが大事です。
私は、そのことを「家族はがんばらないようにしましょう」と伝えています。
私の新年の豊富ですが、「がんばり過ぎない」ということを大事にして、みなさんのお役に立つ記事を書いていきたいと思います。