発達障害について理解するのは、かなり難しいところがあります。
ADHDと自閉症スペクトラムの違いは何なのかというと、「あれ、なんだろう」ということになるのが普通です。
分かりやすくいうと、ADHDは、規則やルールで駄目だと分かっていても、我慢できずに衝動的に行動してしまうのです。
問題の自覚があるので、あとで反省をします。
次に自閉症スペクトラムは認知の障害です。
ルールや規則が理解できず、社会的に許されない行動をやってしまうのです。
問題が自覚できないので、叱られたらパニックを起こします。
このように2つの発達障害の特性は、明確に違うのです。
しかし、自閉症スペクトラムの半数以上がADHDを併発しているために2つの特性が併せてあり、様々な問題行動をするので、親などは理解不能な状態になります。
ADHDで、認知の問題がない方もおられます。
そのような方は成長発達により、成人となる頃にADHDの特性が消える方もいます。
ですから、このような方には、成長期におけるコンサータなどの薬物療法が有効になるのです。
ここで問題は、親がADHDと自閉症スペクトラムを、どちらかだと決めて極端な二分法で考えてしまうところにあります。
よくあることですが、「うちの子はADHDだから関係ない」とか、「うちの子は自閉スペクトラムだから関係ない」という考え方です。
実際は混在していることが多いのですが、片方を無いものとするのです。
そこで何が起きるのかというと、障害特性に当てはまる問題以外のことを、心の問題として捉えてしまうのです。
やる気がないとか、反抗的だとか、そのように見えて、「嫌な奴だ」と感じてしまいます。
このようなことは、親子関係だけでなく、学校の教師・生徒間でも頻繁に起こっていると思われます。
発達障害の問題が、心理的な問題にすり替わって、その他の人間関係までが悪化してしまいます。
これが度重なると、精神疾患になってしまうのです。
そのようなことで、当事者はいろいろな問題が合わせてあるのだと、そのように考えた方がよいです。
ここで大事なことは、当事者が望んでやっていることでなく、当事者に何の責任もないという認識です。
困難があるのは当事者であり、それをうまく乗り越えさせていくのが、周りの者の責任であると思います。